2016,03,04 追補、  2015.07.04 作成

14, 18, 21, 24, 28MHz 5-Band Hexa-Beam Antenna (六角ビーム)


2015年のフィールドデーコンテスに向かって、装備の合理化と更なるスコアアップとを期して、14, 21, 28MHz 用 ヘキサビーム アンテナを製作しました。
更に、2015年11月に、18, 24MHz用エレメントを追加して、5Band用と致しました。



VP2ELY & PJ7ELY, PJ7K DXペディション
2015年11月、カリブ海の二つの島からDXペディションの運用に同じ形のHexagonal Beamアンテナが使われました。
ペディションの計画中に、本アンテナの製作に必要な諸データ、ノウハウの提供を致しました。
このHexagonal Beamの他に、21MHz用3エレ八木も持参したそうですが、結果的に八木は組み立てに手間が掛かる為に、本アンテナが活躍したとレポートを頂きました。
私も、18MでVP2ELYと交信しましたが、QSBのピークでは、S7振って強力な信号が聞こえました。


出来上がってテスト中の"Hex-beam Antenna" 本体総重量 4.8kg (同軸ケーブル、マストを除いた本体のみの重量)
最初、14, 21, 28M トライバンダーで製作した時の重量は 4.1kgでした。 その後18, 24Mを追加して 4.8kgと成りました。
  

---------------------------------------------------------------------------

プロローグ
フィールドデーに参加する様になった当初は、あり合わせの機材を使って、何とかオールバンドに出られる様に展開していましたが、年を重ねる毎に少しずつシステムのグレードアップして来ました。

中でもアンテナは、最初に21M用のヘンテナを作り、その連鎖で28M用も作りましたが、14M用のヘンテナは縦方向の寸法が大きいため、更に長いマストが必要になり、手に負えない事と成り、代わりに、デルタループや陣旗ループなどシングルループを使いましたが、結果として各バンド毎に建てる形と成り、50Mを含めるとマストを4本建てねばならなくなりました。
7MのDP, 3.5MのLWは、4本のマストの何れかに同宿すれば良いとして、4本のマストを建てると言う事は、それだけの平地面積が必要になります。 真夏の酷暑のなかで、1本ずつ建てる労力と時間は、大変な疲労を伴いました。
また、脚立、マスト、ブーム等の運搬も車の屋根上に乗せたキャリヤーのキャパシティーの問題も限界に成りつつ有りました。


2013年のFDを終えた時、2年間雄国沼で運用した結果、50MのQSO数が自宅近くの羽山での結果と比べて可成り少なかった事から、地元を見直して見ようと考えました。
そして、2014年のフィールドデーは、地元の山に戻った結果、50Mは伸びましたが、HFのハイバンドが伸び悩みで、総QSO数が大幅に低下しました。
また、雄国と比べものに成らない暑さには悩まされました。
矢張り高い所が良いと、再び雄国に行く事を前提にして、頭の中で来年に向かっての、あれやこれやを思い巡らせました。 

更に、アンテナ設営の問題点として多数のマストを建てる労力を減らす為に、トライバンダーへの構想が浮かび上がりました。 


トライバンダーと言えば、即、頭に浮かぶのが八木アンテナですが、トラップコイルを作るのが面倒だと言う事と、バンド毎の長さが決め難い、重量が重くなりそうだ、等々の理由で最初から除外していました。
もっと手軽に出来るアンテナが無いか、幾つかのアイディアの中で、自作可能な事、軽量で自力で設営可能な事、などの条件を満たした"Hexa-Beam"へと辿り着きました。


私の移動運用は、フィールドデーの他に、一時期、世界動植物保護区賞"WFF Japan"の活動として国立公園、国定公園内からの運用がありましたが、その主要な仲間の一人、JA1JCF 百武さんが、運用地のスペースが有る時に使っていたのが"Hex-beam"でした。 百武さんのお話では、アンテナ全体を平面展開可能なスペースが無いと、組み立て出来ないのが問題点だった様です。
写真を見せて頂いた感じでは、何となく「頭でっかちで、重そうだなぁ」と言うのが第一印象で、その事が後まで尾を引いていたかも知れません。

インターネットでヘックスビームを検索して見つけたサイトから、CQ Ham Radio誌の記事へと繋がって、スプレッダーの素材として「ダンポール」と言う農業用のグラスファイバー製の細い棒を知り、早速試作に掛かりました。 
しかし、この素材は、曲げに対する反発力が小さくて、巧く行きませんでした。 可成り細くて軽いエレメントワイヤーを使えば、何とか成ったかも知れないのですが、ある程度の耐久力も必要ですし、少しの風で変形してしまう様でも困ります。 アンテナのゲインやバンド幅を犠牲にして細いワイヤーを使うのは面白く無いので、ダンポールの使用は、断念しました。
スプレッダーは、ある程度反発力があって、エレメントの重量で垂れ下がったりせずに、本来の形を保てる物が必要だと言う事が、ダンポールに依るテスト製作で出た答えでした。

そこで、若干の重量アップを覚悟して作ったのが以下に述べる"Hexa-Beam Antenna"です。


経過
最初は、主にフィールドディーコンテストに使う予定なので、WARCバンドは除外して製作を開始しました。
しかし、同じ形のままで、14Mと21Mのエレメントの間に、18M用エレメントを追加するだけなので、製作途中で4Band用に変更致しました。

2015年のフィールドデーに際して、一日前の金曜日の夕刻に、テスト的にヨーロッパ向けに運用してみましたが、今ひとつ思う様な成績が得られず
更に翌日からのフィールドデーの成績も伸び悩みましたが、理由は、私のミスで、ビーム方向の設定ミスでした。
このアンテナは、下から見上げると、どちらがフロントか、バックか、何気なく見上げて固定したのですが、現場での単純な凡ミスが影響しました。
途中で方向を修正した結果、大変良く飛ぶ事に満足致しました。
これを教訓に、下から見上げた時に分かり易い様に矢印マークを付けました。 (センターブラケット説明部を参照)

この事で、フロント方向と、バック方向のゲイン差(F/B比)が充分に有る事が判明する結果と成りました。


その後、2015年の秋に日光国立公園、甲子高原からJAFF-017を運用する時に、24MHzのエレメントを取り付け、5Band Hexagonal Beamがフル装備と成りました。
勿論、6mエレメントを取り付ければ、6 Band化も可能ですが、今の処全く予定して居りません。

--------------------------------------------------------------------------
"G3TXQ"のサイトには、"HEX BEAM"と書いて有りました。 最初は、私も語呂の良い感じなので、本サイトにもヘックスビームと記載したのですが、この名称は、英語の意味は無く造語、言い換えればG3TXQの商標名の様だと気付きました。
商標登録されているか否かは分かりませんが、ここで使う名称としては好ましく無いと考えましたので別名に改めました。

K4KIOのサイトには、"HEXAGONAL BEAM"と記載されて居ますが、HEXAGONALは、「六角形の」と言う普通の英語ですので、これは特別な名称では無いので、これを使う事と致しました。
しかし何とも長い名称で自分でもシックリしなかったのですが、"Hexa-Beam"と呼ぶ事に致しました。
--------------------------------------------------------------------------

14, 18, 21, 24, 28MHz  5 Band ヘキサ ビーム
   
センターブラケット                                スプレッダー
                                         .
センターブラケットの裏側です。 下から見上げた時にビーム方向が分かり易い様に赤い油性ペンで矢印を書き込みました。
更に矢印の中央に夜光テープを貼り、夜間に下からライトで照らした時に見易い様にしました。                  .

1) センターブラケット
ヘックスビームの中央部で、6本のスプレッダーを支えるブラケットと、各バンド毎のエレメントに給電する端子ボックスを取り付けるセンターポールを一組にした物です。
元径 φ24のスプレッダーを差し込んで支えるソケット部分には、内径25弱で長さ220mmの塩ビ水道管を厚さ9mmのベニヤ板製六角板にインシュロックタイで固定しました。
中央の上下にφ25ステンレスパイプ用の平板固定金具 (通称「ソケット」) を取り付け、下側には、30cm程の径25ステンレスパイプを付けました。
また、上側には、φ25のアルミパイプを付けて、途中に端子ボックスや給電用同軸の端子ボックス(バラン)を取り付けました。 
端子ボックスは、上から14M用、18M、21M、24M、28M用の5個が付いています。
センターポールの上端には、スプレッダー先端から吊った糸のフックを引っ掛けるために、スブリットリングを取り付けて有ります。 (スプリットリングは水糸で縛って、接着剤で固定)

通常、スプレッダーをブラケットに固定する方法としては、Uボルトを使う事が多い様に見受けます。  2ヶ所X6本、計12個のUボルトを締める手間と時間を考えて、塩ビパイプに単純に刺し込むだけの形を採りました。 スプレッダーは、先端をセンターポール方向に絞り上げますので、差し込んだだけでも通常の使用中に抜ける事は無いと考えました。

六角板は、平径250mm (角径 400mm)で、厚さ 9mmのベニヤ板で作りました。 
強度が保てれば軽い素材を使いたい処ですが、今回は年に1回しか使わないので、余り資金を注ぎ込みたくないので安価なベニヤ板を使いました。 実際に使う前に透明ニスなどで塗装する予定です。

下側のステンレスパイプは、マストトップに被せる形で嵌めて、空転防止のため、タッピングネジでマストに固定します。


2) スプレッダー
各バンド毎のエレメントを取り付けて支える骨組みには、6本の釣り竿を使いました。  スプレッダーには、各バンドのエレメントが直接接触する可能性が有ります、電圧の高い部位が含まれるので、絶縁性の良い物が必要なので、釣り用のグラスロッドを使いました。


スプレッダーの先端と、2本目、3本目には、写真の様なループを取り付けました。 
この輪にエレメントを引っ掛けて吊ります。
写真は3 Band用に作った時の物で、現在の5 Band用は、下図の形になっています。

ループの位置を示す寸法図:  ○印は左から28M, 24M, 21M, 18M, 14M 用のエレメント取り付け用ループ

トップだけが外向きで、他は内向きのループです。
全て根本側に引っ張られるので、内向きで良いのですが、トップはセンターポールの最上部に吊り上げる形になるので外向きに付けます。

ループに使った細いヒモは、携帯ストラップなどの先端と同質の物で、手芸品店などで入手した物です。 
捲いた糸は、釣具店で釣り竿用の補修糸として売っているものですが、ミシン糸でも問題有りません。
糸を捲いたままでは、使って居る内に糸切れなどで、解れてしまいますので、油性ニスを塗って保護しました。




3) 給電部

     
各バンドの接続Box                       強制バランと同軸端子

ラグ端子の部分、ナットが一つ余計に入って居ますね。                               .
ネジ頭にタマゴラグ端子を嵌めて、直接プラボックスの孔に入れて、外側をナットで止めれば簡単ですよね。

何故?   プラスチックスは、ネジとナットで圧迫されると、自然に痩せて凹みます。              .
やがてラグ端子の押さえが緩くなって接触不良の原因に成ります。勿論スプリングワッシャーも入れてますが
必ず緩みます。                                                         .
そんな時にプラスチックス部分で緩んでも接触が保てる様に、ネジと端子の接触部が緩まない様な加工方法
が必要です。 例で言えば、長ネジにタマゴラグとスプリングワッシャーを一旦ナットで確り締め付けて緩まない
様に固定してからプラボックスに通して居ます。 当然ですが、 プラボックスの内側と外側には平ワッシャーを
入れて、プラスチックス板に当たる面積を大きくし、ナットの喰い込みを防げます。                 .
この様にすれば、プラボックスが凹んでも端子の接触を保つ事が出来ます。  家電製品ではこの様な事はし
ないかも知れませんが、産業用機器には必ずこの様な厳格な配慮をして作っていました。           .
私の工作にも昔の仕事の影響が出た結果ですね。                                   .
バラン
同軸ケーブルとの接続部には、1:1 のバランを内蔵しました。 
コアはFT-114 2個使いの強制バランです。一見フロートバランの様に見えますが、同軸ケーブルと白い線と、合計3捲き線となっています。 
ナガラ社のバランも同じ様な構成で、強制バランですが、フロートバランと誤解されている記述を見聞きします。
強制バランのコアに棒状の物が使われる事が多いのですが、コアの磁気飽和に依るパワー耐量を考えてトロイダルコアを使っています。
移動用に使う場合は、Max 50Wですから、大した違いは無いと思いますので、市販品で充分ですが、アンテナエレメント側の端子に51Ω程度
の抵抗器を付けて各バンド毎のSWRを確認して置くと良いと思います。

端子ボックスも、バランボックスも当然ながら蓋付きです。




4) エレメント
図の太線部がエレメントワイヤーです。
給電点: R,Sをセンターポールの端子ボックスに接続します。
放射エレメント:A, B が左右一対で、八木アンテナのドリブンエレメントに相当します。
反射エレメント:C+D+D+D+Cが八木アンテナのリフレクターエレメントに相当します。

即ち、フルサイズ 2エレメント 八木アンテナと等価です。
また、この形状にした場合、給電点インピーダンスは、ほゞ 50Ωとなり、マッチングセクション無しで同軸ケーブルを接続できます。

Eは、CとB間を繋ぐ細い紐です。
Fは、全体の六角形を保つ為の細紐です。
Eと、Fに使った細紐は、魚釣り用の丈夫な糸です。 ナイロンテグスの様に伸びる性質の物は不適です。
引っ張った時に伸びない性質の糸を使いました。


全体には、この構造のエレメントが、14MHz帯用、18MHz帯用、21MHz帯用、24MHz帯用、28MHz帯用の5組のエレメントをセンターボールを中心に5層に重ねて取り付けました。 
即ち5バンド構成としました。




5) SWR特性



上記エレメント寸法で地上高6mのポール上に揚げた時の14/18/21/24/28MHz 5BanderのSWR特性 (MFJ-259Bにて測定)
                                                              .


移動時に使用するマストの高さは約6mなので、6m高でテストしました。 
MFJ-259B SWRアナライザーで特性を測定した結果は、上の特性曲線に示した通りです。

幾つかのバンドの共振点が低いので今後再調整の予定ですが、主にCWで使うので現状で実用上の問題が無いので当分はこのまま使う予定です。
また、28Mの共振点が少し高いので下げねば成りませんし、バンド幅を広げる事も考える予定ですが、現状のコンディションでは28Mの実用性が低いので将来的な目標としました。


注意点:
14と21の間に18M用のエレメントを、21と28の間に24M用エレメントを取り付けた結果、全体的に共振周波数が下がりました。
(但し、28M用は逆に共振点が上がりました)
原因は、エレメントの近くに別のバンドのエレメントが配置された事に依って相互に干渉が生じたもようです。
各バンドのエレメントが接近した状態に成る事は、構造上やむを得ないので、「全エレメントが配置された状態で最終調整を行う必要が有ります」。





6) 重量
   センターブラケット: 1800 gr
   スプレッダー:    1500 gr
   エレメント一式:    810 gr
   合計 :       4110 gr
以上の重量は、14, 21, 28の3バンド構成の時に計った重量です。 現在は5 Band構成になっていますので、エレメントの重量が増えています。



7) 設営
全長6.5m 3段のアルミ製振り出し式の自作マストを使って居ます。
・最初に、地面に3段目(根元)を立てて、3方向に支線を張って固定します。
・此処に、脚立を沿わせて、アンテナを持ち上げ、マストトップに被せてタッピングスクリューでマストと固定します。
 最初は、マストトップに被せただけで、固定せず、スプレッダーの適当な位置にロープを結んで置き、そのロープを引っ張る方向でビーム方向を変化させて使いました。
 しかし、この方法では、風で方向が揺れる等、安定性が悪かったので止めました。
 現在は、アンテナ本体をマストトップに被せたて、タッピングスクリューで、空回りしない様に固定しています。
・予め1段目の上部に3本のステーワイヤー(φ4 クレモナロープ)を取り付けた状態で、1段目を上に持ち上げて、2段目との間をボルトナットで固定します。
・2段目を同様に持ち上げて、3段目とボルトナットで固定します。
・脚立を降りて、トップに取り付けたクレモナロープを3方に張って固定します。

この頁のトップの写真を見れば様子が分かると思いますが、風でペグが抜けると倒壊の恐れがありますので、充分に長さと強度の有る金属ペグを使います。
3方向は、出来るだけ正確に120°に振り分ける事が大切です。  120°に振り分けが難しいなら、4方向に張ると安全だと思います。

ヘックス ビームは、2エレ八木なので、指向性が有ります。 
私は、マストトップにアンテナをタッピングスクリューで固定しているので、ビーム方向を変えるには、根元でマストを廻しますて方向を変えます。
若しマストに乗せただけで、フリーに回転する様な取り付けとした場合には、事前に方向を決めるロープを取り付けておいて、ロープを引っ張る方向で指向性を変化させれば宜しいかと思いますが、上に書いた様に、風で方向が変化し、安定性に欠ける面が有ります。 

私は、安定性を考えて、アンテナとマストを固定して、マストを回転させて方向を決める事に致しました。


マストの最下部にクロスマウントを取り付けました。
約 1mのアルミパイプの横棒を付け、棒先端をペグ等で固定します。

方向を変える時は、横棒を円周方向に廻して、ペグを打ち直して、地面に固定する方法が有ります。
もう一つは、横棒の固定ペグは動かさず、マストのUボルトのナットを緩め、マストを回転させ方向が
決まった所でUボルトのナットを締めて固定する方法。
どちらでも、良いのですが、私は、後者の方法で使って居ます。


Hexa-Beam 設営の動画
 ヘキサ・ビーム・スプレッダーの取り付けと20m エレメント取り付け
 17m エレメントの取り付け
 15〜10m エレメントの取り付け
 マストを建てる
 マストを延ばして完了する