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月刊「ファイブナイン」2001年9月号P-14に掲載した内容に、そこに書ききれなかった事などを追加、再編集したものを、ここにご紹介致します。
DX局に出したSASEが戻らない、等々の参考に成れば幸いです。
SASEの返信率は如何ですか
カードを送っても戻ってこない。そんな経験は誰にもあります。私も沢山授業料を払いましたが、だんだんと知恵が付いて何とか欲しいカードが手に入る確率が高くなった昨今です。
最近は受け取ったカードを月刊ファイブナイン誌にレポートし「近着のQSLあれこれ」欄に掲載して頂いてますが、手紙やE-Mailで「あのカードはどう言うルートで手に入ったのですか?私は3通も送っているのにさっぱり帰ってこない」等の質問や問い合わせを頂きます。出来るだけ詳しくお答えしておりますが、ウイークエンドDX'erは、送れば戻ってくるだろうという期待の方が先にあって、自分の出し方など考えている暇がないのが実情ですね、私も昔はそうでした。
そこで、この様な方のために少し参考に成りそうな事を書いてみました。貴局の珍局ゲットのお役に立てられゝば幸いです。
第一に封筒に注意
私の常用封筒は上の写真の三種類です。一番外側から「角形8号」「洋形1号」「洋形2号」の3種類です。
一番内側のQSLカードと大きさを比べて下さい、全て定型です。
大きさは角形8号(茶封筒):119x197、洋形1号:120x176、洋形2号:114x162です。
この封筒をどの様に使うかが問題です。洋形2号は返送用で、後述します。
問題は送付用の封筒です。発送用は返送用の洋形2号封筒を折らずに入れられるので洋形1号又は、角形8号を使っています。
アメリカ合衆国、イギリス、ドイツ、フランス、等、通称先進国(先進?カ国・・会議)等に常連で出てくる様な国には、洋形1号に、綺麗な記念切手など貼っても良いでしょう。
洋形1号封筒は私の知る限りでは「LIFE」と言うメーカーが作っています。デパートの文具売り場や、大きな文具店で取り寄せて貰っています。
もし無ければ、洋形2号封筒に返信用を二つ折りで入れれば良いですので、個人の好みの問題でも有ります。
次に先進国らしいが少し国民性の気になる様な相手国宛の場合、同様な封筒は使いますが、切手は出来るだけ通常切手を使います。この場合は記念切手は絶対に使わない事です。危ないと思ったら本局で機械のステッカーを貼ります(又はスタンプ)。
郵便配達の人などが綺麗な切手に目がくらむ事がよく有る様です。相手に届くかどうかがこのSASEの運命を決めてしまうと思われます。
次が問題です。南米、アフリカ、中東、東南アジアやヘンピな島へ送る場合です。この時は角形8号を使っていますが、要は「茶封筒」系が良いのです。少し薄手の茶封筒は中身が光にすかすと透けて見える事がありますがその時はコピー用紙一枚で全体をくるむ様にすると殆ど見えなくなります。宛先、差出人などは絶対に手では書かない事です。質素な文字フォントを使い、パソコンを使ってプリントアウトでビジネスメールに見せかけるわけです。勿論自分のコールや相手のコールなどアマチュア無線と分かる様な文字は一切入れません。絶対に切手は貼りません。郵便局の機械出力のステッカーを窓口で貼って貰います。 もし航空便で出す時は「AIR MAIL」のスタンプが必要です(写真)。この様な国の郵便局員や配達員は、この人が受取る封筒には何が入っているか知っているので、「この封筒には金目の物が入っています」と看板付きの郵便は送らない事です。「相手が私書箱なら配達でないから大丈夫・・」では無いのです。そんな事は大した違いでは有りません。自分の送った封筒が無事に相手に届くかどうかが全ての鍵を握っていると言えるでしょう。書留でも届かない可能性が有ります。
先日、友人が送ったSASEが用心深く送った事で相手に届き、返信が有りましたが、そこには何局かのJA局の封筒が届く前に明けられて、中にはカードと返信封筒だけが入っていた、「申し訳ないが返信出来ない」と注意を喚起する様なメッセージが寄せられたそうです。某アジアの大国からです。
お空でお話しした方の仰るには「あの局にはX回出したが駄目だ、どうなってるのかなぁ?」その言葉の裏には相手がノーQSL'erやダラードリンカーの様な受け止め方をされている風にも聞こえます。確かにノーQSO'erも居ますが、相手にカードが届いていないケースが沢山含まれている様に思えるのです。出す時の注意である程度防げる様に思うのです。
つい最近ですが、インドの局からE-Mailで「グリーンスタンプが入っている場合は全部抜き取られ、開封済みで配達される。IRCなと換金出来ないのでそのまま届く」と言ってきました。あのインドですすら、なのです。
グリーンスタンプを入れる
国によってグリーンスタンプの駄目な国も有るようです。確かでは有りませんがVUは駄目だという情報があります。 それは、上に書いた様な事情を含んだ話かも知れません。
ON, CE0/E, DL, FK, HB9, CXなどはエァメールに対して2枚必要と言う情報が有ります。
其れを判断する方法ですが、今後ヨーロッパからの郵便にはeuの額が表示されてくると思います。国によって額が異なる事が予想されますが、その額を記録しておきましょう。通貨換算は毎日の様に為替レートとしてテレビなどで発表されますので、1ドルで間に合うか、間に合わないか、判断し易くなると思われます。
IRCを入れる
LZ, ODは使えない。DUは首都以外では使えない所が多い。HB9, ON, ZSはエァメールに対しIRC 2枚必要、但しHB9は白封筒で遅い処理のエァメール(Priority B)なら1枚でOKだそうだ。
以前、IRCを入れる場合は、返信用に白封筒をつかい、「IRCを1枚同封したが、エァメールで返信出来ない時はサーフェースメールで送って下さい」の英文メッセージメモを入れて出しています。これは、ワープロでA4版に同じ文を沢山書いて、印刷後に小さくカットして置き、必要な時一枚ずつ入れます。特に急がなければ船便でもさほどの変わりは無いと思われます。
IBRS(国際郵便料金受取人払)封筒を使う
IRCのところで「以前」と書いたのは、最近はその方法は使っていないからです。
IBRSと言う制度を活用しています。この封筒は、「料金受取人払い」の国際版と思ってください。全世界有効で、年間100通以上が条件です。有効期間が2年間ですので、2年間で200通の条件で郵便局と契約します。実際には残り1年間程度ないと何時戻ってくるか分かりませんので、実際には1年間程度で、次の契約を願い出ています。尚、受け取った時支払う金額は一通当たり100円と手数料です。手数料は私書箱扱いで料金後納とした場合、10円ですので、合計110円/1通で、毎月仙台郵政局から請求が来た時、郵便局の窓口で払い込みます。
本局程度の大きな郵便局でないと難しいかも知れませんが、詳細は郵便関係のホームページでも得られます。
封筒の書式は線の太さまで決まっていますが、ワープロで作成可能です。私の場合は「一太郎」で作りました。
この封筒の場合、同封した封筒で相手が返信してくれなかった場合、返信料の負担は有りません。(後払いです)。相手は宛先人に返送する以外の使い道はないので、こちらの損害は最小で済みます。但し、相手にとって何の旨みも無い訳ですから(本来QSLはそうした物ですが)封筒に綺麗な切手や、シャックの写真など、相手の喜びそうな、こちらの負担の少ないものを同封するなどの心使いも必要でしょう。また、大規模なDXペディションなどでは、取り扱いに困る場合も有りますので、考えて使う事も必要ですね。
以上、GSやIRCについては、相手によっては、他への流用などの用途が有って個人的に受け入れてくれる場合も有るだろうし、大丈夫だった例も沢山あると思いますが、十分な注意が必要でしょう。
返信までの平均所要日数は、1999年以前の2年間で67.1日間、2000年以降で63.0日間です。最近1年間はIBRS封筒の利用が増えて、その分返信時間の短縮に影響している様ですが大差は無いでしょう。
DXペディション局のマネージャーへ出す時
この場合の封筒は上に記した条件に沿えば良いわけですが、
問題は多数のバンドやモードでQSOした場合のカードの書き方にあります。一枚毎にカードを書いていたら、送る側の重量制限が出て来ますが、そんな事よりも受け取ったマネージャーのチェックの手間が大変です。一覧表形式が一番良いのです。QSO数が2回の場合は普通のカードならデーター欄の中央に線を引いて上下に書き込めますが、3回以上の場合、私は写真の様にしています。作成には、ワープロの紙形を「はがき・縦、横書き」を選んでおき、上端余白は出来るだけ小さく設定し、データ以外の部分を事前に作って登録しておきます。此処では自分のコールは見やすく大きく表示し、Rig, Ant、Power など一見必要の無い様でも、自分が免許された正当な手段で交信した証と、相手が統計的データを取ろうとした時などに役立ちますので、小さい文字でも必ず記入ます。
使う用紙は「A4 ラベル・ノーカット」を縦に半分より少し小さい90ミリから95ミリ幅に切っておきます。QSO数によって使用する長さが異なりますので、長いままプリンターに掛けて、印刷後にカットし、裏紙をはがして自分のカードの裏側に貼り付けます。カットした未使用部分は次の為に保存するのは当然です。ここで使うQSLカードははがき大の物なら何でも良いでしょう。虎の子の写真カードなどは勿体ないので、出来るだけ安価な物が適します。使うのは貴方の勝手ですが表側に絵やコールなどは不要です。マネージャーは、まず貴方のコールを見てパソコンに打ち込みます。その後でデータを確認しますが、常にコールとデータを見比べるでしょう、貴方のコールをその度に裏返して確認する様では相手をイラ立てるだけです。データ面の自分のコールは一目で簡単に見える様にする事が最も賢明な事です。以上のことを手抜きをしないでお試し下さい、きっといい結果が望めるでしょう。
(なお、この場合、カードに貼る必然性はないと思います。普通のコピー用紙にリストをプリントした物でも良いかも知れませんが、相手が個人のペディション局なら必ずカードを使いましょう。彼がペディ先のコールでアワードを得ようとする場合も、決して皆無では無いと思うからです)。
返信用封筒
洋形2号は返信用です。自分への宛先をパソコンのプリントアウトで見やすく郵便局が間違えない様な物を用意します。上述のIBRS以外の場合は、返信用に自局の宛名を書いた封筒を同封する訳です。この封筒には正しく漢字で宛名を書く事が大切です。一番下にハッキリと"JAPAN"と大きく書きます。相手国は送り先が日本だと分かればそれ以外に必要無いのですが、配達するのは日本の郵便局員です。漢字で分かり易く書く事です。但し、宛名の何処かに自局のコールサインだけは表示する事が大切です。発送者が誰宛の封筒か分からなく成る可能性も大きいからです。
この様に色々な事に配慮して初めて返信率が高まる事に成るのです。
SASE管理表を作る
次にカードを送った時の内容を記録する事も大切です。私の場合はロータス1.2.3を使って「SASE管理表」で記録しています。
管理表の中を3つのワークシートに分けます。上の写真はその内の二つです。
相手局名、交信日、バンド、モードなどの相手データ、マネージャーのコールなどをQSO直後に記入し、これを「未発送(発送予定表)」とします。
次に送った時、中に入れた物(返信料はIRC, $, IBRS等の別、と量、その他)、発送日、更にマネージャーや相手の氏名、住所とその出所等も重要です。これらを記入して「発送済み表」に移します。
返信が有った時は、受取日、所要日数、その他参考になる事を記入し、「受領済み表」に移します。もし、封筒に相手のアドレスのスタンプが有り、それが送った住所と違う場合は慎重に記録するなり、原因を確かめておけば同じ人宛に次に送る時の参考に成ります。マネージャーの住所が変わっていたり、情報が間違えていたりする時もたまには有りますので返信が無い時、送った住所が間違いないかなど後でチェックする重要な鍵になります。
相手からQSLが届いた時は、「発送済み」のワークシートでコールサインの検索をし、見つかったデータを「受領済み」ワークシートへコピーし、発送済み側のデータを削除します。受領データには受領日と所要日数を記入しておくと後で役立ちます。なお、検索のために「検索アイコン」を上部のアイコン群に加えて置く事も便利に素早く使うために必要でしょう。
「未発送表」「発送済み表」「受領済み表」は表計算ソフトの同じファイル中のワークシートで区別して置けば楽に処理出来ます。勿論「エクセル」でも同様に使える筈です。各ワークシートの一番下に、発送数、受領数、所用日数の平均値などを自動表示する様な関数を埋め込んでおくと更に便利です。これを一つの表でまとめると未発送と発送済みや受領済みが混ざってしまい、これから発送しなければならない物をうっかり見落としたりしますので、分けた方が管理が楽になります。