2012.06.10 追補
2011,10,09 改訂

Bunting Loop Antenna (陣旗ループ)


全長 18mの陣旗スタイルのループアンテナ

  

左側の絵は、アンテナワイヤーの形状です。

一般的な正方形ループアンテナは、マストの上部に横長の腕木を取り付ける必要があり、頭が重く、不安定に成りそうだったことと、縦長にした方が若干なりとも真四角のループよりもゲインが高くなる事が分かったので、 陣旗タイプにして計画しました。 縦長の形状ですが、水平偏波です。 

作り易いサイズと、多バンドで使える様に考えた結果からエレメント長 17m〜18m としました。 7M〜24Mまでの給電点のマッチングは、ATU を使っています。
出来るだけ広範囲にチューニングが取れるタイプのATUが望ましいのてで、以前使って居たSG-239はベストセレクションでは有りませんでした。 そこで、2011年秋からSG-230を使って居ます。

右側の写真は、実際に妙義荒船佐久国定公園内で使った時のものです。 脚立の高さは2.1mですから、給電点までの高さは、見当が付くと思います。
10, 14, 18, 21MHzは、ATUでチューニングが取れて、実用になりました。 前日の上信越国立公園・野沢温泉スキー場と、妙義荒船林道の2カ所で14Mと18Mで運用しましたが、ヨーロッパ局相手に1時間に40〜50局のQSOが出来ました。 以前に使ったデルタループと比べて飛びも聞こえ方も良かったので満足しています。 


SG-230 ATU

 
ATU コントローラ

一般的にATUのアンテナ接続端子は、ロングワイヤーなどに対応し易い様に、ホット側を上部に、コールド側を下部に付けてありますが、当局のSG-230には、両方共に上部にアンテナの接続端子を付けて、ループアンテナやダイポール系アンテナにも対応し易い構造に改造しました。 勿論ロングワイヤーにも使い易い様にグランド端子は、下部にも付いています(オリジナルの端子を残してあります)。 SG-230のアンテナのグランド端子は、入力側の同軸ケーブルのグランド側(網線側)とは直流的は絶縁されていますのでループアンテナに接続するには好都合です。

SG-239を実際の移動運用で使った結果では、18M, 21Mではベストマッチで使えましたが、14Mではベストマッチの一歩手前で止まってしまい、フルパワー運用が出来ませんでした。 そこで、エレメント長を30cm刻みで少しずつ短くしてエレメント長17m程度までテストしてみましたが、長さによって何れかのバンドがベストマッチ出来ない状態が有りました。 この事は、SG-239のチューニング可能範囲が基本的に狭い為だと思われます。

それに比べると、格段にマッチング幅の広い SG-230 ならば全バンドのベストマッチが可能であろうと考えて、SG-230を入手致しました。


SG-230使用結果
注文したSG-230が、2011/9/30に届きました。 早速JAFF-040, 027, 045、3ヶ所で使ってみました。

SG-230 と 18m Bunting loopの組み合わせでチューニングが取れたバンド : 14, 18, 21, 24MHz帯
28MHz帯は、ベストマッチにならず、パワーが80%くらいしか出ませんでした。 また、7, 10MHz帯では試してみませんでしたので後日確認の予定です。

尚、18m長デルタループでは、7MHzでチューニングが取れ、早朝にヨーロッパの 7カントリー  10局ほどとQSO出来ました。

長さが同じで形が違うと、何故チューニングに取れたり取れなかったりするのか、 答えは、アンテナの形状で給電点インピーダンスに違いが有る為です。

このアンテナは、ATUの性能次第で 3.5MHz帯でもマッチングが取れれば、電波は出せると思います。その場合、ゲインは可成り低くなる事と、垂直偏波になりますが「何とか電波を出したい」程度の希望は叶えられると思います。
例え、チューニングが取れても、この寸法でローバンドに使うのはベストマッチとは言い難い面が有りますので、10MHz帯以下のローバンドで使う場合は、それなりのエレメント長を考えるべきかと思います。 同様にハイバンドについても適正な長さを選びたいところです。 
その点下記の各バンド毎の特性は、参考になるかと思います。



Bunting Loopの適切なループ長
Bunting Loop (陣旗ループ)は、万能では有りません。これまで使って見た結果、一つの考え方が見えてきました。
使用するバンドの範囲からワイヤーの長さを決める事に成ります。 実用的な使用バンドは3バンドが適正です。 エレメントの長さを決めるには、3バンドのうち、中央のバンド、即ち、14, 18, 21MHz様で有れば 18MHZの1波長をルール長とします。  (実際にはそれより若干長い方が良いので短縮率 1.05 程度が良い結果が得られました.)。即ち18MHzなら、300x1.05/18.1=17.4m で製作する。 ATUでチューニングするので、厳密な長さの必要は無く、適当にその程度の長さで作れば問題無いでしょう。

このアンテナを、更に1段高いバンド即ち、24MHz帯で使えるか、 実際には、24Mの1.5波長となり、給電点が電圧の腹、即ちインピーダンス最大になるのでATUでチューニングが最も難しい長さとなるので使用に適さない。
では10.1MHzではどうかだが、チューニングが取れれば使用できますが、多分ゲインの点で満足が得られないかもしれません。臨時使用程度なら問題無いが、コンテストなど、成績に影響あると困る場合は止めた方が良いと思います。 
この考え方は、Bunting Loopに限らず、ループ系全て共通の問題です。

Buntin Loopは、形状から想像付くと思いますが、ゲインも含めて「ヘンテナ」とほゞ同じと考えられます。 ヘンテナの寸法をループ全体で見るのでは無く、給電点から上のループを見ると、単純な1波長ループになると思われます。 即ち、ヘンテナの場合は、Bunting Loopの下側にマッチングセクションが付いた形になります。例えば、八木アンテナのドライブエレメントに付くヘアピンマッチを想像すれば分かり易いかと思います。Bunting Loopには、マッチングセクションが無いので、代わりにATUでマッチングを取る訳です。ATUがチューニングしてくれれば良い訳です。 多少の長さの違いはATUがカバーしてくれます。
また、基本波長よりも低い周波数ではエレメントが短い、即ち短縮型と成りますが、実際には肝心な1/2波長のエレメントは完全な形で存在し、折り返した帰線の短い分をATUで補っているのでアンテナとしての利得に対する影響が小さいと考えられます。

Bunting Loopの縦横の長さ
あまり神経質に考えなくても問題無いです。 私が使った物は、幅 2mのアルミパイプを上下に配置して、高さはループ長から割り出した値( 約7.7m )です。
幅が狭いとゲインが稼げますが、給電点のインピーダンスは、高くなるのでATUがカバー出来なくなる可能性が高く、幅を広く取れば楽にマッチング出来るかと思いますが、ゲインは下がるかと思います。しかし、そのゲインの差は少ないので、作り易い形にすれば良いと思います。
幅を広げた場合、もう一つの問題は、頭が重くなるので、現場で建てる時に、苦労する事になります。その点でも縦長の方が使い易いと言えますが、縦が長いと建てるポールが問題になります。
"The Bunting Loop antenna" as for it, the narrow width rectangle loop antenna turned out that a gain becomes high rather than a square loop antenna.
Element length could be 18m from the result considered to be the size which is easy to make this antenna so that many bands could use.
Matching of the feed point to 7M-24MHz uses ATU SG-230. In all bands. It is unidentified whether tuning can be taken by SG-230. If especially a 24MHz Band is difficult, it will not be found. In that case, although element length is adjusted, since a problem may occur in other bands, finally it will decide by cut and try.


MMANAに依る評価特性
以下の特性は、18MHzを中心に計算し、ループ長 17.4mで作ったBuntingLoopをMMANAで評価した特性です。


7MHz帯の特性

7MHz帯では、ダイポールに劣る程度のゲインですが、我慢すれば何とか使えそうです。 垂直偏波成分が増えてしまい効率が悪くなっています。



10MHz帯の特性

10MHz帯も性能は低いですが、我慢すれば使える程度と思われます。



14MHz帯の特性

14MHz帯では問題無く使える様です。



18MHz帯の特性

18MHz帯では、基本波なので当然ながら目標の動作が期待出来ます。 ヘンテナと似た構造なのですが、ヘンテナより若干ゲインが低い程度です。



21MHz帯の特性

21MHz帯では垂直偏波成分も少なく、18M以上の性能を発揮する様です。



24MHz帯の特性

24MHz帯では垂直偏波成分が少し増加し、その分効率が悪くなっていますが、充分に使える帯域の筈です。問題は、長さ18mは12m Bandの1.5λになり、給電点が電圧の腹、即ちハイインピーダンスになるので、ATUでチューニングが取れない可能性もあります。 エレメント長を若干短くするなどの工夫が必要かも知れません。



28MHz帯の特性

28MHz帯では垂直偏波成分が可成り増加します。あまり期待出来ないので緊急避難的な使い道と考えるべきでしょう。
縦長なため、両側の垂直エレメントに完全に半波長乗っていることが垂直成分が増える原因かと思います。この手のアンテナではやむを得ない問題です。
横幅を広げると、基本波付近に於けるゲインが減少するのと、頭の重量が増え、マストに頑丈なポールが必要になります。 


通常、ループアンテナの長さは、1波長です。この長さでベストマッチとなります。(短縮率省略)
ATUで広範囲のバンドで使う場合、基本バンドの上下のバンド程度が性能を期待出来ると考えます。 即ち 17mループでは、14, 18, 21MHz帯です。
更に低いバンドでは、ある程度のロスを覚悟で使えると思います。 
更に高いバンド、17m長に対して 24MHz帯では、約 1.5λとなり、ハイ・インピーダンスとなり、マッチングし難い又は不安定になるので、実際には使用出来ないかと思われます。